フランス料理店から洋菓子店に転職して。
その洋菓子店の場所は、大阪の堺市にありました。
南海堺駅を降りて歩いて行くと
フェニックス通りって大きな道路があってそこを越えてさらに歩いて行くと当時ありました。
「ボンシェール」って名前の洋菓子店です。
調理師時代からの友人が務めていて、引っ張ってもらったんです。
そのお店の近くにお店の支配人の持ち物らしいアパートも借りてもらって、至れり尽くせりだったのを思えています。
初日にその洋菓子店に行った時に感じたのは、今までとはまるで違う匂い。
たぶん洋菓子店独特の匂いだと思います。
小麦粉とバターと、それにスポンジケーキを焼いた時の匂いが混ざって独特の匂いになってます。
今でもたまに別の洋菓子店の厨房に入るとそんな匂いを感じる事があります。
たぶんそれは、お店お店で出しているお菓子によって変わるんだろうと思います。
自分のお店で感じないのはそれが普通になっているんだと思います。
初めて来る人はきっと何かの匂いを感じるんだろうなって思います。
私はそのお店に友人に引っ張ってもらって就職をしたので。
友人はもちろん先輩です。
しかも、私と違って要領が良くて覚えが速い。
正直、今のままでは最初から開いている差が、どんどん広くなる。
少しでも近づきたい。
要領が悪くて物覚えの悪い私と、要領が良くて物覚えのいい友人。
まるで真逆。
でもそれに近づける方法は一つだけあります。
要領も物覚えも悪い私はにとっての一つだけの方法。
「時間がかかるのなら、時間をかけるしかない。」
簡単です。
誰よりも早く、出来るだけ早く行って、誰よりも遅くまで時間を使う。
私にできる事はそれしかありません。
差は縮まらないまでも、開かないようにはしたい。
そうやってスタートを切ったパテシェの第一歩。